ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

北朝鮮で中国人旅行者は何を撮っているのか

YouTubeでは世界中のブロガーの旅行動画が投稿されていますが、ひときわ目を引くのが北朝鮮観光の動画です。

日本人にとってはハードルの高い世界ですが、中国人旅行者にとっては比較的簡単に訪れることができるようです。

中国メディアにこんな記事が掲載されています。 

www.takefoto.cn

 2019318日以降、北朝鮮政府は一日に受け入れる外国人観光客を1000人に制限するという報道です。

米朝首脳会談以降、毎日約1800人の旅行者が北朝鮮にやってくるわけですが、すでに受け皿がパンクしてしまっているようです。

外国人用ホテルや交通手段などのインフラが限られているというのが表向きの説明。しかし監視役のガイドが不足していることも背景にあるようです。

 今回は中国人旅行者が北朝鮮で撮影した動画『朝鮮95小时』を紹介します。

YouTuberのFlypig(飞猪)と友人二人が北朝鮮を旅する3部作です。

2018324日、北京国際空港から空路で平壌に向かうところからスタートします。

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彼らは“盗撮できるならやっちゃえ!”というスタンスなので時計型のカメラまで持ち込んで撮影を敢行していきます。 

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それで動画の中では本来撮影不可の平壌空港の税関の様子なども含まれています。

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何とかして街の人々と接触したり、生活の姿を撮ろうとするのですが監視役に阻止されてしまいます。

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本人たちはリスクを冒している自覚があるので、ガイド役の男女の顔には処理を施しています。もちろんガイドの男女は流暢な中国語を話します。 

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主体思想塔とその屋上からの眺め。

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「鎌・槌・筆は農民•知識人•労働者の団結と共産主義を表します。中国共産党では筆は掲げられていません!」というガイド役の女性のコメント。

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百貨店ではPanasonicの洗濯機やサントリーウイスキーなどを発見。 

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子連れの平壌市民。

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そのあと一行は開城(ケソン)の民宿へ。

伝統衣装に身を包んだ女性が楽器を演奏したり、食事を提供してくれます。

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開城の宿舎にはもともと電気が通っていたようですが、この日は電力不足のため機材の充電はできなかったようです。

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開城で一晩を過ごした後、板門店へ。 

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北側から見た韓国の様子も撮影されています。

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そのあと食事に寄った一行は、ガイドの女性が誕生日だと知りケーキをプレゼントします。 

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切り分けてもらった撮影者たちがこのケーキを口に入れた最初の反応が「これって植物性?それとも動物性バター?」というゲスなツッコみを展開しています。

その後、北朝鮮でのゴルフ体験。

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 サッカー場では香港代表vs北朝鮮代表の試合が開催されています。 

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マスゲームとまではいきませんが、一糸乱れぬ北朝鮮サポーターの応援に圧倒されます。 

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北朝鮮を訪れたら必ず寄りたいのが、地下20メートルの深さに広がる地下鉄です。

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長い長いエスカレーター。上から下までたどり着くのに3分近くかかるようです。 

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地下鉄の駅には北朝鮮らしいモザイク画が描かれています。車両もかなり古そうです。

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そして北朝鮮での96時間が終わります。

空港の税関では撮影したあらゆる動画やUSBなどは検査されることなく持ち出すことができたようです。

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本人たちは潜入動画のスタンスで撮影していますが、実際はさほど珍しいものが移っているわけではありませんでした。

動画の4本目、旅の舞台裏を振り返るパートでこんなエピソードが語られています。

ガイドの誕生日にケーキをプレゼントしようとした時、ちょうど隣のテーブルに6人の大人と1人の子どもが座っていたんだ。

あの時、動物性バターを使ったケーキを注文したんだけれど、隣のテーブルの女の子がずっとこちらを見ていたんだよ。

僕らのテーブルの食事はとても豪華で、あちらのテーブルの上にはほとんど何も乗っていなかった。

だから余ったケーキを女の子にも分けたいと思ったんだけれど、北朝鮮側の人間が「それはやらないでくれ!」っていうんだ。

それでも女の子はずっとこちらを見ていた。あの表情は忘れられないね。

 結局のところ、こうした個人旅行者の公開している動画も宣伝工作の色が強く出てしまうのは否めません。

でも中国語という別の言語を介して北朝鮮をのぞくと、日本語メディアだけでは知ることのできない姿を知ることができるのではないでしょうか。

このほかにも中国人旅行者の北朝鮮旅行記が公開されているので、機会を見つけて紹介してみたいと思います。