YouTubeで10年以上韓国料理の作り方を投稿する動画チャンネル『Maangchi』
今回紹介するのは2007年よりYouTube上で韓国料理の作り方を投稿しているフードブロガー『Maangchi』です。
チャンネル登録者数は350万人。視聴回数は3億8千万回を超えています。(2019年7月現在)
こちらのチャンネルでは膨大な数の料理動画を公開しています。
この不思議な名前『Maangchi』は韓国語でハンマーを意味する言葉で、一時期はまっていたビデオゲームから取った名前だそうです。
彼女は韓国生まれですからもちろん韓国語のお名前も持っていますが、通称エミリー・キムとしても知られています。
ニューヨークタイムズでは「YouTube上の韓国料理版ジュリア・チャイルド」とも評されています。
※ジュリア・チャイルドとは1960年代 テレビの料理番組を通してフランス料理をアメリカ全土に広めた女性。
英語圏で韓国料理の第一人者といえば彼女であることは間違いなし。
2015年には初の著書となる「Maangchi's Real Cooking」を出版しています。
Maangchi's Real Korean Cooking: Authentic Dishes for the Home Cook
- 作者: Maangchi
- 出版社/メーカー: Rux Martin / Houghton Mifflin Harcourt
- 発売日: 2015/05/19
- メディア: ハードカバー
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日本語の情報はほとんど存在していないのですが、英語版のウィキペディアやインタビュー記事を読んでいくと彼女のバックグラウンドが語られています。
1957年韓国生まれ。大学では教師の資格を取得。もともとは料理を志していたわけでもなく、専門的に学んだこともないようです。
ではどうして韓国の伝統料理をよく知っているのかというと、幼いころから母親・叔母・祖母の料理に囲まれて育ってきたことが、今の活動につながっています。
主なオーディエンスには2種類の人々がいるそうです。
一つ目は韓国料理にほとんど触れたことがない人々。地元のコリアンレストランで韓国料理に接したことがきっかけで彼女にたどりつくパターン。
二つ目は韓国系アメリカ人。いわゆる二世の人々です。もちろん家庭では母親の韓国料理で育っているのですが、アメリカ生まれゆえにアレンジが加わったテイストになっているようです。いわゆる“本物”に触れてみたいという気持ちから彼女にたどりつく二世もいるとのこと。
みんな大好きVICEのフードチャンネル『Munchies』にMaanguchiが登場しています。
この動画の中で彼女は、欧米のシェフや素人がめちゃくちゃな方法で韓国料理を作るのを見てどう思うか?と質問されています。
それに対する回答が非常に興味深いです。
白人男性が大きな包丁を振り下ろして葉物を切る様子などを見ることもあるが、最後に出来上がるのがキムチならそれでいいじゃないですか。私がインド料理を作りたいと思ったら、まず伝統的なレシピを学びます。それから、スパイスが強すぎると思ったら、すこし弱くします。これは私の選択です。でも最初はリアルな方法を学びたいと思います。
韓国料理における守破離の「守」の部分を一手に引き受ける覚悟を感じる発言です。
でも彼女の料理動画は気負いを感じさせないとても家庭的な雰囲気です。
皆様もよろしければ是非に。