ベトナムの農村から母の手料理を発信する『Ẩm Thực Mẹ Làm』
2020年もベトナムでは農村Vloggerがますます人気を集めています。
視聴者が増えると同時に新たに動画チャンネルを開設する配信者も増えています。
そして多くの動画が若い女性の田舎暮らしをテーマにしている中、今回紹介するチャンネルは中年女性が主役です。
チャンネル名はベトナム語で『Ẩm Thực Mẹ Làm』。日本語に訳すと『母の料理』という意味になるそうです。
チャンネル登録者数は45.9万人(2020年2月現在)
2019年3月から動画投稿をスタートしています。
活動を始めてからそれほど時間が経っていないのに、動画の再生回数は20万から200万回という驚異的な数字を叩き出しています。
YouTubeは動画のジャンルにかかわらず初期の動画、特に最初の動画は再生回数が極端に少ないことが多いのですが…
2019年3月1日に公開された最初の動画でさえ50万回以上再生されています。
主役の女性Dương Thị Cườngさんは今年で56歳。
農民の家庭で育ち畑仕事や家畜の世話をしながら暮らしてきたそうです。
撮影するのは息子のĐồng Văn Hùngさん。今年で24歳になります。
ある日、息子さんが母の姿を撮影した写真をSNSに投稿すると思わぬ反響を呼ぶことになります。
多くの都会で暮らす若い世代にとって、なかなか会いに行けない遠くに暮らす母親の姿を連想させたようです。
実はこの息子さんがハノイでカメラマンとして働いていたという偶然が重なります。
それで『Ẩm Thực Mẹ Làm(母の料理)』というYouTubeチャンネルが誕生します。
決して美しいとは言い切れない農村風景ですが、素朴な母親とその手料理に多くの共感を呼んでいるようです。
再生回数が最も多いのはこちらの動画。
水を汲み、米を炊き、野草を調理する。
概要欄には「あなたが家にいない時、両親の料理はこんなに質素なのです」という一文。
これが実家を離れて暮らす人々の心に訴えているのでしょうね。
さらにYouTubeでの人気をきっかけにニュース番組で取り上げられたり、母と息子そろってバラエティ番組への出演も果たしています。
ベトナムでの注目を集めたこの親子。2020年には新たな世界戦略を打ち出しています。
それがこちらの動画。
紛れもなく李子柒の動画。ベトナムの要素は一切ありません。
しかしコメント欄に注目してください。
最上部に表示されているのが『Ẩm Thực Mẹ Làm』の英語コメントなのです。
英語で李子柒の生い立ちや人気になってからの苦労などが紹介されています。
そして最後に一言。
「She inspired me to shoot a video of my mother ..Love From vietnamese.」
「彼女にインスパイアされて母の動画を撮り始めました。ベトナムより愛を送ります。」
こんなの読んでしまったら視聴者はリンク先をクリックしてしまいますよね。
ある意味で最もお金のかからない宣伝かもしれません。
この親子の動画には決して豪華な食事が登場するわけではありませんし、正直なところ食欲がそそられる食べ物があるわけでもありません。
しかし国籍や言語を超えて誰もが持っている“母親への思い”をうまく伝えています。
そもそも料理動画なのに料理はそれほど重要ではないということを体現しているような気がします。
皆様もよろしければ是非に。
こちらは参考記事。