ガラパゴスの蛙

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滇西小哥 最新動画についての本人コメント【尼西黑陶土鸡】

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滇西小哥の動画が公開されました。

2020年8月19日に公開された最新動画では前回・前々回に引き続き雲南省シャングリラが舞台です。

今回はチベット族に伝わる伝統の黒陶づくりと尼西鶏を使った煮込み料理に挑戦しています。

YouTubebilibiliでは本人コメントが公開されています。

素人訳なので自己責任でご覧ください。

 シャングリラに行ったら尼西黑陶を撮影しないわけにはいきませんね。
以前に黒陶の無形文化財を受け継ぐチベット族のお兄さんと知り合いました。
彼には特別な名前があります:吹批次主(チュエイピーツージュー)
チベット族の名前はラマ(チベット仏教の高僧)もしくは活仏に名付けてもらいます。
固定の姓もありません。
吹批兄さんの先祖は黑陶を作ってきました。
一代一代受け継いで現在に至っています。
最初に黑陶の作り方を学びたいと言った時、吹批兄さんは2年かかってバター茶のポットを作れるようになったと話していました。
忍耐と時間があれば教えてくれるとのことでした。

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数日滞在してから、半年初めに学んでも泥をこねられるようになるだけだと気づきました。
木製ハンマーで叩いて穴がないよう平らにするような作業です。
それでも黑陶製作の工程に参加して学ぶことにしました。
ニーシーはシャングリラ県のチベット族の村です。
古くは茶馬古道で必ず通る道でした。

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ここには2千年以上続く悠久の製陶の歴史があります。
特殊な焼き上げ技術なので、出来上がった陶器は黒くなります。
皆がこの場所で焼かれた陶器を「尼西黑陶」(ニーシーヘイタオ)と呼んでいます。
尼西黑陶の技術は特に複雑で制作に長い時間がかかります。

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1:土選び
黑陶の制作に使う基本原料は石が風化してできた砂、白い砂土、赤色粘土の3種類です。
伝統の職人は具体的な配合を把握しています。
私たちが山に取りに行ったのはそのうちの一つです。
新しい土は太陽に晒して完全に乾燥させます。
2:土を打つ
原料となる様々な土は一定の比率で配合しなければなりません。
木の棒で土を打ち、打てば打つほど粘りが出てきます。
完全にバラバラになるまで打ちます。

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3:土をふるいにかける
土を目の細かい網でふるいにかけます。
混ざりものや打っても潰れなかった土を取り除きます。

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4:土をこねる
土の山をつくります。
真ん中を空洞にしてから水を入れて少しずつかき混ぜます。

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均一に混ぜてから長方形のかたまりにします。

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5:発酵
こねた土を空気を通さない薄いビニールで包みます。
二日前後置いて発酵させます。

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6:ベースを作る
この工程が一番複雑です。
必要な工具も特に多いです。
私たちが作るのはスープを煮るための鍋です。

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先に鍋の本体を作り、それから耳を作ります、好きな図柄を書きます。

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もう一度薄いビニールで底の部分を包み、湿度を保ちます。
1日置いて、上半分が乾いたら鍋底を作り始めます。
少し力を入れて鍋底と本体をくっつけて叩けば一体になります。
鍋底の形を作ります。
ひっくり返して陰干しします。

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さらに鍋の大きさに合わせてフタを作ります。
この工程では工具を使って少しずつ形を作ります。
作り手の技術が最も試されます。
ベースが出来上がったら陰干しします。

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7:磨き
ヤクの毛で作った磨き布を使い、完全に乾いた鍋を磨きます。
光ってなめらかになるまで磨いたら出来上がりです。

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8:焼き上げ
黑陶の成功はここにかかっています。
一般的な陶器の焼き上げとは違っています。
伝統的な焼き上げの方法は天・地・人にこだわっています。
雨が降らない風が吹かない天気が必要です。
下に板を敷いてひっくり返した鍋を置きます。

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松の木で鍋を均一に囲んで、大きな火で焼きます。

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風が強く、薪にばらつきがあり、地面に水気があると火が均一に入らず鍋が破裂します。
薪が燃え尽きると、鍋が炭のように赤くなったらおがくずを入れます。
おがくずで完全に火と鍋を覆います。
木くずでフタをされて火の内側の酸素がなくなることで、還元性雰囲気が引き起こされ有機炭素が浸透します。
それで焼き上がった陶器が黒くなるのです。
この工程を炭化と呼びます。

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30分すると黑陶の出来上がりです。
この焼き方だと一定の数は失敗します。
当日は7つの小物を焼きましたが、最後には私の作った鍋も含めて2つがダメになってしまいました。
完全に冷ますと黑陶の出来上がりです。

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吹批兄さんによると、この世界に一つとして同じ黑陶は存在しないそうです。
決まった型を使わず、全てを職人の手で叩いて作るからです。
全てが唯一無二です。
すべての尼西黑陶の中で最もよく見られるのがバター茶ポットと尼西鶏鍋です。
バター茶は前回の動画で紹介しました。
今回は尼西鶏について話しましょう。
尼西鶏はとても小さいです。
2年かけて育てた尼西鶏が1キロにもなりません。
でも肉質がとても美味しく、スープにぴったりです。

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熱した鍋にラードを入れて油を出します。
水を沸騰させて、塩と草果粉を入れます。
他の調味料は一切入れません。
スープを黑陶に移し替えて15〜20分煮込んだら出来上がりです。

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尼西鶏は必ず黑陶で煮込みます。
これではじめて美味しくなります。
そうだ、それから調味料です。
ニーシーには独特の小米辣(プリッキーヌ)があります。
炒めたら鍋から取り出し、冷ましてから潰します。
ネギ・ニンニクのみじん切り・ショウガに熱した油をかけます。
うすくち醤油で味を整えます。
尼西鶏をつけると本当に超おいしいです。
鍋では好きな野菜を煮込みます。
この美味しさは忘れられません。
シャングリラに来たら尼西鶏を必ず食べてください。
黑陶煮鸡、藏全鸡とも呼ばれています。
この味を食べればきっと忘れないでしょう〜

<記事の終わり>