ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

アフガニスタン発の農村動画で何かが起きている…

こちらのブログを約一年ほど放置してしまったのですが、そろそろ再始動しようと思い立ちました。この間に李子柒はSNSでの活動を停止、滇西小哥は今でも元気に活躍を続け、韓国のonukさんは海外への渡航解禁に伴い東京やニューヨークを訪れたVlogを公開するなど話題に尽きません。

 

そんな中で今回ご紹介したいのはアフガニスタンから発信される農村動画です。Twitterで数日前に軽くバズっていたのを目にしてリサーチしてみました。

 

YouTubeで試しに「Village life afganistan」と検索してみると出るわ出るわ…すでに再生回数が数百万回に達している動画がゴロゴロ見つかります。これを再生回数順に並べ替えると数千万回になってしまうのだから驚きです。

この見過ごせない再生回数を叩き出している2つのYouTubeチャンネルは『Ebrahim Danish』と『Deyar دیار』です。

www.youtube.com

www.youtube.com

 

どちらも撮影者・出演者に関する情報は不明ですが、2020年から動画投稿をスタート。初期にはトラベルVlogやフードVlog路線を取っていたようですが、2021年末から2022年の頭にかけてヴィレッジライフ路線(私が勝手に農村動画と呼んでいる)に方向転換されたようです。

 

被写体自体はアフガニスタンの小さな村を映しているにも関わらず、中国や東南アジアの動画チャンネルが積み上げてきた技術をしっかり踏襲している。だからこそかなり初期の頃から再生回数が伸びていて、なおかつ世界中の農村動画ファン好みな”作品”がしっかり作れている。世界各地の農村動画をご覧になっている皆さんならきっと、「このシーンは中国のあの人の影響だな」「このサムネイルの作り方は東南アジアのあの人っぽい」みたいな分析をしながら楽しめるのではないかと思います。

 

これは私見なので全く確かな根拠があるわけではないのですが、このブログ『ガラパゴスの蛙』でインドのヴィレッジ・フードを取り上げた頃(2019年2月)に、南アジアだけでなく中央アジア界隈の動画チャンネルも調べた記憶があります。インドの料理動画が爆発的な人気を得ているタイミングではありましたが、パキスタンより西になると一気に関連動画が減ってしまい、「まだまだこっちには波及していないのか…」と思ったことを覚えています。

 

それから数年が経ちアフガニスタンだけでなく中央アジアの各国でも次々と農村動画が登場しています。この現状をどのように捉えるべきなのでしょうか。高速インターネットのインフラがさらに広がったこと、撮影機材の低コスト化、SNSの多様化、動画編集がひとつの職業として確立されたことなど色々と想像できます。でも確かなことは本人たちに聞いてみないとわかりません…

 

最も大きな要因はYouTubeで農村動画(ヴィレッジ・ライフ系)がジャンルとして確立されたことでしょう。ひとつのチャンネルが爆発的な注目を集めると、YouTubeアルゴリズムが芋づる式に関連動画として他の弱小動画チャンネルを大舞台に引っ張り上げる。このサイクルの繰り返しで次々と世界各地の動画チャンネルがおすすめに表示されていくわけです。実際今回紹介したアフガニスタン発の動画コメント欄を見ると、寄せられているコメントの言語は多岐にわたります。

 

フィルターバブルという用語自体は消極的な文脈で使われますが、ひとつの大きなバブルが周りの小さなバブルをも飲み込んで、さらに大きなバブルとして拡大していくイメージが農村動画界には当てはまりそうです。

 

個人的には被写体がカメラに向かって話したり大げさな料理を作る動画よりは、演出が含まれていたとしても淡々と生活を映した動画が好みなので、このトレンドがもっと広がっていけばいいなと期待しています。

 

各チャンネルの特徴などは今後のブログ更新で取り上げられればと思います。今後も『ガラパゴスの蛙』をよろしくお願いいたします。

 

※ご感想・コメントなどはブログのコメント欄やTwitterのDMなどでいただけると中の人が喜びます

 

再生回数1千万回超えの驚異の動画(2022年10月現在)