シカゴ在住 絵画修復師の動画チャンネル『Baumgartner Restration』
ネット上には無数の“絵師”と呼ばれる人々が存在していますが、今回紹介するのは朽ち果てた絵画を修復する職人です。
その名も『Baumgartner Restoration(バウムガートナー・レストレーション)』
ボロボロになった絵画を修復するプロセスをひたすら記録しているだけの動画チャンネルです。
ただ単にインスピレーションに従って絵を描くのと、一枚の絵が元々持っていたと思われる色彩や輝きを取り戻すことは全く違います。
美術史の文脈を読み取る力、高度な修復技術、そして画家としての美的センスの総合力が試されます。
とはいえ、修復作業は普段は見ることができないものです。
展示されている絵画を鑑賞する側は、あくまでも修復前後のビフォーアフターしか見られないのが常ですが、この動画チャンネルでは絵画修復のプロセスをつまびらかにしています。
例えばこの動画では、すっかり酸化してボロボロになってしまった聖母マリア像を修復していきます。
まずは割れてしまった部分をピンセットで慎重に取り出します。
メスのような刃物で平らにならしていきます。
硬化剤で割れ目を埋めていきます。
マスキングテープで塞ぎます。
裏側からも硬化剤を流し込みます。
固まったらマスキングテープを剥がします。
再び刃物でならしていきます。
調合した下地を塗っていきます。
絵が剥がれた部分に塗りました。
謎の液体を調合します。ひび割れた部分に流し込んでいきます。
剥がれたピースを元の絵に戻していきます。
変形したはんだごてのような機材で接着します。
いよいよ薬剤と綿棒と綿で酸化した絵を修復していきます。
綿棒で丁寧に汚れをそぎ落としていきます。
どんどん元の色彩が戻っていきます。
剥がれた部分にパテを塗り込みます。
下地が修復できたので別室に移動します。
何が始まるかというと、次は金箔を貼り付けるのです。
いよいよ色を塗っていきます。
そして遂に完成!
なんということでしょう!
そもそもこの修復スタジオを設立したのは動画に登場した男性 ジュリアンさんの父親でもあるアッガス・バウムガートナーさんです。
スイスやフランスの芸術大学で美術を学んだ後、1971年から1978年までスイスの美術館で美術品の修復業務に携わります。
その後はフリーランスの絵画修復師としての活動を始めます。
2000年代に入り、アッガスさんの息子 ジュリアンさんが父の弟子として修復師の道を歩み始めます。
2011年に父親が亡くなると共に、その技術を残すべくジュリアンさんが修復スタジオを引き継ぐことになります。
2016年7月よりYouTubeの動画チャンネルを開設。2018年現在3600万回の再生数、登録者数85万人を獲得しています。
動画は音声解説付きと作業音声のみの2種類が用意されています。静かに作業だけが進んでいくASMRバージョンが個人的にはおススメです。
皆様もよろしければ是非に。