ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

李子柒のインタビューが中国の女性誌に掲載される

中国で出版されている女性誌『中国妇女(Women Of China)』の2020年1月号に李子柒のインタビューが掲載されました。

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(※写真は中国婦女のウェブサイトより)

表紙には「独占インタビュー 動画の向こう側の李子柒に迫る」と書かれています。

この記事の内容が2020年1月16日に雑誌のウェブ版に掲載されました。

今回はこちらの記事を意訳してみたいと思います。

www.womenofchina.com

李子柒があっという間に国内外で有名になり、“李子柒”が議論となる現象について彼女は一貫して冷静な態度を保っています。

神秘的でインタビューを受けることも殆どありません。

少し前に彼女が本誌のインタビューを受けてくれました。

対話を通して本当の李子柒に近づいてみましょう。

Q:カメラに映し出される農村はとても美しいですが、どうして農村を愛するのですか?

幼い頃から祖父母と共に田舎で暮らし、大きくなってから都市で働くことに決めました。2012年、祖母が病気と聞いて荷物をまとめて実家に帰りました。

それから周囲の全てが貴重なものに見えるようになりました。

 

私は農村が好きです。草花を植えたり、地元にはない果物や野菜を植えたり、毎日やることがたくさんあります。

田舎暮らしに退屈はありません。こんなに多種多様です。

幼い頃から農村で暮らしてきたので、全てを自給自足することに畏敬の念さえ感じています。

 

今では農村でも大きな変化があります。多くの場所で庭園付きの西洋風別荘が見られています。

通りがかった時に家の主人が庭の手入れをしているのを見かけると、草花を植えた経験について話し合うこともあります。

自分がどう生活したいのか、そのために喜んで犠牲を払う日々を過ごしています。

 

Q:動画の中のあなたは何でも出来ますが、どこでその技術を学んだのですか?

あるものは小さな頃から自然と身に着けました。

例えば家庭料理やよくある野菜・花・果物などを植えることです。

祖父は料理人だったので、小さな頃から少しずつ学んできました。

あるものはネットで資料を読み、実践で学んでいます。

蘭州ラーメン活版印刷、刺繍、醤油の醸造などは技術を持っている人に教えてもらいに行きました。

 

蘭州ラーメンを学ぶために、地元の牛肉麵館へ甘肃省の料理人を探しに行きました。

半日かけてあらゆる手を尽くしましたがダメだと言われました。でも最後には話をしてもらえるようになりました。

「私の撮影する動画は1000万回の再生数があるので蘭州ラーメンに人々の注目を集める手助けができます」といったところ受け入れてもらえました。

とても打ち込んで学び、二細(麺の細さ)までのばすのに1ヶ月かかりました。

もっときれい撮影するためにに食事さえも惜しんで半月に渡って中国式ナンを食べていたら、丸い粉ものを見ることさえ嫌になってしまいました!

 

私も普通の人に過ぎません。何でもできる人ではありません。

出来ないことはひとつひとつ時間とエネルギーを割いて学んでいます。

 

Q:庭の手入れや農作業はとても大変な仕事ですが、特に大変なのはどんなことですか?

私にとって作物を育てることは大きな挑戦です。

私は挑戦が好きなので、熱帯の果物のなど元々は綿陽に合わないものでも、方法を感がえて育てています。

動画の中のパッションフルーツは温室で育てています。植え始めてから2年目で結果が出ました。

さらに冬のいちごはずっと火を焚いて加熱し、人工受粉させて結果が出ました。

パイナップルやドラゴンフルーツなどの熱帯フルーツも栽培に成功しました。

あらゆる方法を試して達成感を得ると満足できます。

 

Q:最初の動画を覚えていますか?撮影のインスピレーションはどこから得ていますか?

最初に撮影したいと思ったのは都会に住んでいるときのことです。

淘宝でネットショップを開いました。弟は普段から美拍で遊んでいたので、撮った動画を淘宝で掲載して宣伝するようアドバイスしてくれました。

 

2016年3月、最初の動画を撮りました。その時は“桃花酒”を撮りました。

ちょうど桃の花が咲いていた頃で、お酒を作るのが好きだったので自分のよく知っている分野から撮影をはじめました。

毎回の題材を選ぶ時、あえてインスピレーションを探す必要はありません。

農村では季節ごとに違う食材があるので、多くの素材を撮り切ることができません。

長い期間に渡る動画の場合は、それぞれの作物がどの段階なのか、どんな状態にあるのかを携帯のメモ帳に記録しています。

コンテンツが集まってくると最後は編集して動画にします。

中国の伝統技術の動画であまり精通していない場合には時間とエネルギーを割いて学びます。

例えば筆・墨・紙・硯の動画では、素材の準備から数えると2年間かかっています。

動画になったときにはたった10分しかありませんけど。

 

Q:おばあちゃんと支え合う姿が感動を呼んでいます。あなたにとっての“家”とは?あなたの追い求める“美しい暮らし”とは?

私の家は、私と祖母の二人と、锅盖、锅盔、ああ、何匹かの子犬がいます。

普通の農村の小さな家です。家族がいる所、それが家のある場所です。

この頃は寒い日が続いているので、撮影に出かける時は祖母が必ず“暖かくして気をつけてね”と言ってくれます。

家に帰ってくると祖母が火に薪をくべて待ってくれています。

私が凍えてしまわないようにしてくれています。

こんな小さなことが毎日起きています。毎回思い出すたびに暖かな気持ちになります。

家はどこにあったとしても、思い出すと暖かな気持ちになれる場所のことだと思います。

 

私にとって美しい暮らしとは、動画の中に映っている心配事のない自給自足の生活です。

庭の様々な果物や野菜、珍しい草花。毎朝起きてスボンを履き替えるとすぐにその日食べる果物と野菜を採りに行きます。

そして季節の花々を部屋に飾ります。

太陽が出てくると外出しません。家で一日過ごして食事を作ったり、ドラマを見たり、作業をします。そしてお年寄りに付きそう堅実な生活です。

 

Q:あなたのどんな素質が今の自分を形作っていると思いますか?

祖母からはきちっと物事を行うように言われてきました。

自分自身に対する評価としては、少し偏っていて完璧主義の傾向があります。

いつでも最高の結果を出したいと思っています。

あるシーンがうまくいかないと、何度も何度も取り直します。

例えば雪山を撮った時は9時間掛けて山に登り、最後に使ったシーンはたったすうびょうでした。

山頂で一晩中眠ることもできす、雪が深く火を起こすことも出来ませんでした。

危うく山の上で死ぬところでした。

伝統工芸を学ぶこと、農作物や日常生活を撮影すること、動画を制作することは私の好きなことです。

誰でも自分の好きなことをしている時は楽しくて没頭できると思います。

 

Q:あなたは国内外のプラットフォームで人気になっています。国内メディアに認められた際には、中国文化の輸出に良い影響があると言われています。あなたはどう思いますか?どうして多くの人に人気なのでしょう?

私はただ自分の願う暮らしを撮っているだけです。

こんなに多くのフォロワーに好かれるとは思っていませんでした。

動画が映し出す田園生活は、日が出ると働き、日が落ちると休み、いい頃合いで食べる。きっと妄想したことがある暮らしだと思います。

国外でこれほど多くの人々が私の動画を気に入ってくれていることにも驚いています。

フォロワーや友人が海外からのコメントを翻訳して見せてくれています。

あるコメントを良く覚えています。

“これは仙境(俗世を離れた浄い土地)でしょうか?そうであるなら中国に行かねば”

これを見たときとても誇りに思いました。祖母にも見せびらかしたぐらいです。

 

多くの視聴者に注目されるにつれて、責任感や使命感を持つようになりました。

中国文化は広く深いです。もし私の動画でより多くの国外の視聴者に本当の中国、中国の美しい山河を見せたり、中国の優秀な伝統文化を理解してもらえるなら素晴らしいことです。

例えば文房四宝は中国伝統文化の象徴的な記号です。

それを制作してマレーシアの国王に送ることが出来ました。

私たちが本物の筆や紙に替わってパソコンや携帯電話を使うことが増えると、ずっしり重い歴史と文化はますます遠くなっていくので、魅力を伝えていくことが必要です。

 

皆さんが私の動画を気に入ってくれるのは、ある種の共鳴でしょうね。

それは多くの人が願っている生活です。

ある動画で月餅を作った時に、フォロワーたちが久しぶりにそれを見たとコメントしていました。みんなの共通の記憶を引き起こしたんです。

私は特に先人たちの生活の知恵に敬服しています。

現代の都市生活者はストレスが多いので、私の動画が見せる美しい伝統文化と美しい映像で少しでも慌ただしい気持ちを減らし、静かで心地よい感情を届けたいと思います。

<書き起こし終わり>