ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

滇西小哥がオックスフォード大学で行った講演が公開される

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12月初旬に滇西小哥がオックスフォード大学で行った講演がbilibii動画で公開されました。 

その時の様子はInstagramでも報告されていました。

 
 
 
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滇西小哥 Dianxi Xiaoge(@dianxixiaoge_apenjie)がシェアした投稿 -

今回もこちらの動画の内容を中国語から日本語に意訳したいと思います。

 動画タイトル:雲南の農村女子がどうやってグルメ動画で1000万のフォロワーを獲得したのか?

みなさんこんにちは。
私は百家号のコンテンツ製作者、滇西小哥です。

(※百家号は百度が運営するマルチメディアプラットフォーム)

動画を通して雲南の美食、美しい風景と人情を記録しています。現在、ネット全体で1000万人のフォロワーがいます。
それぞれの動画の平均再生数は1000万回以上です。
多くの人が女性なのに滇西小哥と名乗るのはどうして?と質問してきます。
だって滇西小姐って響きがよくないでしょ?(笑)
私をよく知る人は私のことを阿盆姐(アーペンジェ)と呼びます。
私には「盆鸡(ペンジー)」という幼名があります。
私の地元にはある言い伝えがあります。
子どもが生まれた時、母方の親族が何を持っているかで名前を付けるというものです。
このように名付けられた子どもは幸運に恵まれ、良い暮らしができると言われています。
私が生まれた時に母方の祖母は左手にお盆、右手に一匹のニワトリを抱えていました。
その時、祖母が家に入った瞬間に私の幼名が「盆鸡」に決まったのです。
動画の中では家族が私の幼名を呼ぶ場面があります。
それを聞いた皆さんが興味を持ち、その名前はとてもいい、雲南の特色が出ていると感じるようです。
それで弟と同じように私のことを阿盆姐と呼んでくれます。
まるで世界中の人が私の家族みたいですね。
3年の間に200以上の動画を撮影してきました。
皆さんは私の動画のどこを気に入ってくれているのかな?とずっと考えていました。
美食と食物には記憶があり、私たちの記憶と感情を伝えてくれます。
まず最新の動画を見てみましょう。

私の動画はだいたい十分ぐらいの長さです。
これは1分に濃縮した動画です。
どうして私が自媒体(セルフメディア)を始めたのか。
私は雲南でも辺鄙で貧しい小さな山村に生まれました。
貧しすぎて私が幼い頃には村に水道がなかったほどです。
母は毎朝、村の石が敷かれた道に沿って下り一日分の水を汲みに行っていました。
父は長年に渡り地元を離れて仕事をしていました。
それで家族の期待を無駄にしたくないという思いがありました。
地元の外にある大学に合格し、地元の外で仕事をすることにしました。
私が大学を卒業する時に両親は地元に戻って家をリフォームしました。
私と妹が成長したので、帰るべき家がないのは良くないと思ったようです。
私が卒業した頃は実家に帰りたいとは思いませんでした。
都市に残って頑張りたいと思ったのです。
自分の力で家を買い、両親を呼び寄せたいと思っていました。
どれだけ都市での生活が辛くても、混雑するバスと地下鉄に乗り、安い出前を食べて、小さな部屋で暮らしていました。
家族が私の原動力かつ後ろ盾でした。
2016年に父が突然病気になりました。
心筋梗塞で入院したのです。
医師がくれた病状告知書にサインした時に実家に帰る決意をしました。
私にとって家族と一緒に3食を共にすること以上に幸せなことはありません。
実家に戻ってから現実の問題に直面します。お金です。
辺鄙で小さな山村で先行きの見えない暮らしです。
近くの街に行くまでに一時間はかかります。
村で生活しながら収入を得るには地元の特産品を売ろうと思いました。
でも一ヶ月やっても何も売れませんでした。
だれもこんな小さな場所で物を売っているなんて知りません。

物が良くても誰も知らないのです。
2016年に動画配信が人気を集めるようになりました。
それで動画を撮ってみようと思ってから3年が経ちました。
3年間、ずっと自分に問いかけていることがあります。
どんな動画を撮ろうか?どんな動画ならみんなが気に入ってくれるだろうか?
私の動画はレシピ動画ではありません。
多くの食材は地元でしか取れません。料理も珍しいものばかりです。
あの花はどんな味なんですか?油で揚げた竹虫はどんな味だんですか?と聞かれます。
見ている人は料理の味すら知らないんです。
それでも多くの人が気に入ってくれます。
皆さんの心の中で食べ物には特別な意義があります。
単にお腹を満たすだけではなく、私たちの記憶や感情を伝えているのです。
私たち家族がご飯を食べているシーンで笑いが起こると、見ている人が自分の家族に対する感情を引き起こすようです。
家族の味を思い出させることに意義を感じています。
これは3年前に撮影した動画です。
この動画で初めて再生回数が伸びました。

これは3年前のハンバーガーを作る動画です。
画質は今ほど良くはありません。
前からずっと祖父母を連れてハンバーガーを食べに行きたいと思っていました。
祖父母にとっていわゆる洋食を食べてほしいと思ったのです。
でもその願いは実現しませんでした。
雲南の辺鄙で小さな村に戻ってから、美食ブロガーをやろうと思った時に、自分で作ってみようと思いました。
私のハンバーガーの作り方が本物ではない!と批判されることを心配していたのですが、全てのコメントを見てみるとハンバーガーの味や作り方について言う人はいませんでした。
「自分の祖母も食べたことがない、私も連れて行って食べさせてあげたい」「祖父母は既に亡くなっているので食べさせてあげられない」と書かれていました。
食べ物は今この時お腹を満たすだけの簡単なものではなく、家族を思い起こし、今を大切にすることを教えてくれると思いました。
私には弟がいます。
頻繁に動画の中に登場しています。
3年前から今に至るまで、彼の成長を記録したいと思ってきました。
3年で彼は子どもから青少年へと成長しました。
身長は1メートルから1メートル60センチに。
以前は私のお尻にくっついていたのに、私を抱きかかえられるぐらいに成長しました。
今でも彼が家に帰ってくると食べるものを作って欲しいと頼んできます。
ジャガイモの千切り炒めでも喜んで食べてくれます。
この段階で食べ物が持っている意義は、食べて成長できるだけでなく、姉と弟が共に成長してきた印だと思います。
みなさんに私の弟の短い動画をお見せします。
彼の3年の変化です。

<弟の登場シーンのダイジェスト動画を再生>

さらに雲南には珍しいキノコや食べられる花があります。
山で採った鸡枞(キノコの一種)は雲南のキノコの王様です。
現在に至るまで養殖技術は開発されていません。
すべて野生のものです。
この動画の鸡枞一週間かけて家族で探して集めた量です。
一部は遠くに住む親族に送っています。
私たちは普段、貴重な食材の幾らかを少し手を加えてから遠くに住む親族に送っています。
これは地元ならではの味だからです。
単に美味しいから送るのではなく、私たちから遠くの親族への愛や思いが込められています。
地元を離れて働く人には忘れられない、何度食べても飽きない家庭料理があります。
私にとっての家庭料理は、父が作った牛肉干(ビーフジャーキー)です。
街でもおいしい牛肉干は手に入りますが、父の作ったものが大好きです。
それは私の家ならではの、他の場所では食べられないものだからです。
普段から美食に記憶や価値を付け加えたいと思っています。
みなさんが動画を見る時に自分自身や自分の家族を投影しているからです。
特に今の若い人は実家を離れて一人で頑張っています。
毎日混雑するバスや地下鉄に乗ってKPIのために徹夜で残業しています。
彼らが疲れた体で帰宅した時、狭い借家に戻った時、出前を取って夜ご飯を食べている時、私の動画を通して慰めを与えたり寄り添えたりできたらと思います。
私がどんな料理を作ったとしても、みなさんが食べたことがあろうとなかろうと、それは重要ではありません。
重要なのは私の動画を通して自分自身を見ること。
自分が家族と一日3食食べている姿を見ること。
家族と一緒に同じ食卓から温かさを感じること。
自分と家族が騒がしいテレビの音を聞きながら笑っているあの温かさを感じてくれることです。
これは私たちの愛情、家族に対する真摯な憧れです。
最後に一言、もう一度自己紹介させてください。
私は滇西小哥。
おいしい食事に生活の温度と情感を与える生粋の雲南女子。
ありがとうございました。
<書き起こし終わり>