ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

50年前のミリタリー飯を食するYouTubeチャンネル『Steave1989MREinfo』

金を出せば古今東西の美食をいくらでも食べられる時代ですが、世界には変わった食事を追いかける人がいるもので。

ティーブ・トーマスさんが運営するYouTubeチャンネル『Steave1989MREinfo』

www.youtube.com

こちらが配信者のスティーブさん。

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チャンネル名や動画タイトルには、頻繁に"MRE"や"Ration"など普段なかなか目にしない英単語が登場します。

MRE=Meal, Ready-to-Eatの略

Ration=食糧

このチャンネルでは主に各国の軍隊が過去・現在に兵士たちに実際に配っていた食糧を開封して様子を見ながら実食する動画を公開しています。

ぱっと見た感じでは非常に地味な動画なのですが紹介しているブツが激やばです!

例えばこんな感じ。

・1969年 ベトナム戦争時 米軍兵士用 缶詰スパゲッティ

 

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まずは箱からていねいに取り出して

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トレーに盛り付けて実食!

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・1945年 第二次世界大戦中 米軍兵士用朝食 ポーク&エッグ

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箱から取り出して並べてきれいに並べる

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この調子で50年、60年、時には100年以上前のミリタリー飯を開封して実食する様子が淡々と撮影されています。スティーブさんは安全のためマスクを着用しているようですけれど、ときおり「マスクを通過して臭い!」とつぶやいていることもあります。賞味期限などはるかに超えて、食事の限界に挑戦していますね。

2019年2月現在100万人を超えるチャンネル登録者を獲得しています。普段投稿している、普通に食べても問題なさそうなミリタリー飯の平均再生回数は30万~40万回。それに対して骨董品クラスのミリタリー飯を開封する動画は200万回から400万回と圧倒的な人気を誇っています。

私も早速チャンネル登録して通知をオンにしました!

英語圏の記事をいろいろ調べてみるとインタビュー記事が見つかりました。

www.myrecipes.com

ティーブさんはミリタリー飯を買いそろえるために、たった一年間で12,000ドル(133万円相当)もの金額をつぎ込んでいるそうです。

 まだ8歳の頃に父親がMREの入った箱をミリタリーショップから買って帰ってきたことが人生で最初の出会いだったそうです。父親は遊びで買ってきたつもりだったようですが、スティーブさんは完全に一目ぼれ。人生で一番最初に食べたミリ飯は「ハムスライス」。2番目に食べたのは「ツナヌードル」。その時のことを今でも鮮明に覚えておられるようです。幼い目にはスーパーで売られている食料品と、飾り気のないパッケージのミリタリー飯のギャップに引き付けられたとも語っています。

 

ティーブさんの投稿する動画は、多くの退役軍人からも高い評価を得ているそうです。ビデオを見た退役軍人の方々が、紹介されている食事を見て当時のことを鮮明に思い出してくるのも一つの醍醐味。美味しかった食事・まずかった食事などなど、朝鮮戦争からベトナム戦争に至る15年から20年の間のエピソードがスティーブさんのもとに寄せられています。

数あるコレクションは温度管理された環境のもとで保存されています。ゆくゆくは無料の博物館のようなものを作りたい思いもあるようですが、開封して食べることは法律的にもちろん無理。だからこそビデオの中で実際に開封するプロセスを公開しているようです。

これまでに食べた中で最も古いミリタリー飯は1957年の米軍の食糧。小さなパンにピーナッツバターが塗られ、コーヒーとホットチョコレートがセットになっていたものだと語っています。

インタビュー記事を読んでいると面白半分で実際に食べてみたというよりは、きちんと歴史を調査したうえで収集し開封している印象を受けました。

このYouTubeチャンネルには「食べる博物館」という言葉がしっくりきます。

ミリオタの方も、そうでない方にも、ニッチなジャンルが大好きな方にはおススメです。