2019年VLOG界隈をざっくり振り返る
M-1グランプリもMステスペシャルも終わり、普段ならぼんやりと過ごす年の瀬。でも今回は思い立って2019年に注目したYouTube動画について書いてみようと思います。
Video+blog=VLOGという言葉は意外と古くからあるようですが、広く知られるようになったのはここ数年のことです。
特に2019年はVlogやそれに類する動画配信が大躍進した1年でした。
個人的に注目しているのは世界各地の有名大学に通う学生たちのVlog。
例えば Sienna Santerさんはハーバード大学の生徒でありながら、自身の生活をVlogで発信しています。
こちらは中国の最高学府 清華大学の生徒の動画チャンネル『锦堂生活空间』。
航空・宇宙科学を学ぶ大学生の暮らしが記録されています。
この他にも中国から世界の各地に留学している中国人・韓国人留学生のVlogがじわじわと注目され始めています。
2019年、韓国Vlogger女子のパイオニアたちは続々とファンミーティングを開催。
活動の幅も広がっています。
例えばsuedduさんはエッセイ本を出版。ondoさんはオリジナル雑貨の販売をスタート。onukさんは韓国へ帰国してオンラインショップを開設するなど大躍進。
instagramとの連携で影響力はますますパワーアップしています。
彼女たちがインフルエンサーとしての地位を確立するにつれて、タイアップする企業も登場。
主な視聴者層である「働く若い世代」に訴求するメディアとして確実に影響力を強めています。
ソウル在住or田舎在住にかかわらず、再生回数と登録者数が伸びているVloggerさんには、デザイナー・アーティスト・フードコーディネーターなどの背景があるケースが多いです。
Final Cut ProやAdobe Premiereを自在に使いこなすプロ級の腕前を持っていることが大きなアドバンテージになっています。
中国でもVlogは盛んですが、圧倒的な人気を誇るジャンルは田舎生活動画。
李子柒と滇西小哥を筆頭に膨大な数の配信者が登場しています。
この二人は数年前から動画投稿をスタートしていますが、海外での人気に火がついたのはこの1,2年です。
YouTube上でクオリティの高い動画を地道に増やしてきたこと。世界中のYouTubeユーザーのおすすめ動画に表示される頻度が増えたことがメジャーになった理由のひとつではないでしょうか。
李子柒のようなアート系動画とは一線を画す、中国農村のリアルな暮らしを発信する人々も増えています。
巧妇九妹、渔小仙、南方小蓉など地元の海産物や農産物を動画で紹介して視聴者に販売するビジネスモデルを確立。
いままで販路を持っていなかった地方の貧困地区に富をもたらし、それに目をつけた政府からの後押しを得るようになっています。
東南アジアで光っているのはベトナムの配信者。
『Bếp Trên Đỉnh Đồi』や『Duyên Keva』など李子柒からインスパイアされたと思われる女性たちが、ベトナムの田園風景を発信しています。
パクリと批判する声も国内外に存在しているようですが、時間が経つにつれてオリジナリティが増しています。
南アジアで人気になったのは間違いなくヴィレッジ・フード動画。
最初に火が付いたのは『Village food factory』です。
大量の食材を豪快に調理するインドのおじさん。
英語の訛りがキツく何を言っているのかほとんどわからないのですが、なぜか見てしまいます。
「YouTubeで家が建った!」という噂があっというまに南アジアに伝わって、今ではインドを中心にえげつない数の類似動画が出現しています。
ひとつでも多くクリック数を稼ぐために、サムネイル画像を加工して巨大な食材に見せかける手法も定番化しています。
日本ではhibi hibiさんとfutabaさんがVlogをスタート。
お二人とも金沢在住ですが動画のテイストが少し違っているところが見どころです。
昔から住んでいる街や普段の暮らしでも様々な撮り方が出来ると気付かされます。
視聴者からのコメントに丁寧に答えているのも印象的です。
inliving.のりりかさんは大物YouTuberの領域に達しているのではないでしょうか。私ごときが言及するのは畏れ多いのですが…
彼女の動画投稿は2018年からのスタート。でも注目されるようになったのは2019年の初め頃。
モーニングルーティンや料理動画で一気に有名になりましたが、最近ではライブ配信に力を入れているようです。
新居での年越しYouTubeライブも計画されているとか。
今から少し気になっています。
2019年のVLOG界隈。いい話ばかりを取り上げてきましたが、最後にこれからの課題も。
欧米では美しい映像を巧妙に使って新興宗教やマルチ商法に誘導する配信者も存在しています。
この"巧妙さ"がポイント。
動画は全く無害なのにリンク先のサイトに飛ぶと本当の目的が明らかになるのです。
このような動きをYouTube側がこれからどのように帰省していくのか要注目です。
配信者のプライバシーと安全も大きな問題になっています。
中国の李子柒や韓国のondoが一部のファンからの嫌がらせや自宅特定被害に遭っていると告白しています。
生活を切り売りするVlogだけに、プライバシーをどのように守っていけるのかも大きな課題です。
以上、2019年ひたすら世界中のVlogを視聴した感想でした。
2020年は"Vlog"という言葉で一括にできないような動画がどんどん登場する予感がしています。
地上波テレビが東京オリンピック一色になる一方で、世界中の多様な暮らしを映し出す動画にますます注目が集まるのではないでしょうか。
来年はもっと面白い動画に出会えますように!