ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

李子柒人気を支える男、劉同明のしたたかな戦略。

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李子柒の国内外での人気が高まるにつれ、ビジネス面で彼女を育て上げた人物への注目が集まっています。

当ブログでも彼女を支える杭州微念科技有限公司の存在について取り上げてきました。

galapagosfrog.hatenablog.com

2020年7月に入ってから李子柒と微念創設者である劉同明の関係についてまとめた記事が出回っています。

物語色が強いところや収益に関する数字の信憑性が不確かな部分もありますが、李子柒現象の裏側に隠された戦略について興味深い内容となっています。

ちなみに劉同明の顔写真はGoogleで調べる限り見つかりませんでした。百度で検索したら出てくるのかもしれません。

今回は百家号の悦文天下で掲載された記事を訳しました。

素人訳なので自己責任でご覧ください。

 

baijiahao.baidu.com

Tmall(天猫)李子柒ショップの月間売上が億を超える。彼女の背後にいるこの男が最大の勝者だ。

ホットワードを見るのが好きな人なら、最近何度もよく知る名前を目にしただろう——李子柒。


ベトナムの某配信者にスタイルを盗作されたり、ある教師の書いたテストに登場して論争を引き起こしたり。人気になってからというもの、李子柒がホットワードに上るたびにネットで論争を読んでいる。李子柒はひとつの現象と言えるレベルのインフルエンサーに成長し、莫大なフォロワー擁し、金を集める能力は多くの上場企業を超えている。


もちろん、李子柒の成功は本人の努力や継続と切り離すことはできない。彼女が払ってきた犠牲については多くの人が書いている。私はそれを書くつもりはない。少し違った話題を取り上げよう。
古い言葉に「天の時、地の利、人の和」というものがある。つまり人の成功には多くの要素が影響しているのだ。
李子柒がショートビデオ界の風の強いところに立ち、十分な努力を払ったことは確かだ。(原文:風口を踏む、シャオミの創設者 雷軍が語った「風の強いところに立てば、豚さえも飛ぶ」という言葉からくる風口論のこと)しかし風口を踏む人も努力する人もこれだけいるのに、なぜ李子柒が人気になるのだろうか?
李子柒の背後にいる1人の男に言及せざるを得ない——劉同明。
天眼查(中国の企業情報を集めたサイト)を調べると、劉同明は四川子柒文化伝播有限公司監査役を務めている。(李子柒の本名は李佳佳、法人代表を務める)

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李子柒の会社の51%の株式は杭州微念公司が所有している。この杭州微念公司の代表が劉同明である。

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以上の様々な証拠から考えて、劉同明は李子柒と関係の深い人物であることがわかる。
劉同明とは何者なのか?
彼は李子柒の運命を変えた男だ。
皆が知っているとおり李子柒の生い立ちは大変なものだった。早くに父親を亡くし、祖母に育てられ大きくなった。
彼女は底辺から這い上がってきた人だ。ウエイトレスやバーで働いてきた。努力で運命を変えようとしてきたのだ。しかしどれだけ努力しても運命の束縛から逃れられない。
彼女が古風な農村動画を取り始めたのは、自分のタオバオ店(ネットショップ)で作った食べ物を宣伝し商品を売るためだった。
考えてみてほしい。彼女のペースと計画の動画広告で人気になることができただろうか?
それは全く不可能である。
その頃に劉同明が彼女に目を留めて、李子柒に宛てて「あなたの動画が好きです。今の状況を詳しく知りたい」と手紙を書き送った。
彼は李子柒にビジネスモデルや時代の方向性について語った。彼ははっきりと李子柒が現在直面している苦境について言い当て、彼女の心を動かした。
彼は何度も「李子柒、こんなに素晴らしい動画は全世界の人が見てくれるはずだ。全世界の人に見せるべきだ」と肯定した。
それだけでなく、劉同明は杭州から李子柒が住む四川に出向き、直接彼女と話して火鍋を食べる約束を取り付けた。
その食事の際に劉同明と李子柒は多くを話し合い、そこで李子柒と劉同明は手を組むことになった。
劉同明と手を組んだ後、李子柒は微博の多くのユーザーの助けもあり、名もなきネットインフルエンサーから微博でまあまあ有名な動画配信者となった。
李子柒が人気になるにつれて多くの広告会社から彼女へのオファーがあった。ある会社は彼女が顔を出すだけで、喜んで200万元(日本円で3000万円以上)の広告費を出すと言い、ある会社は彼女が一度のイベントやパフォーマンスに参加するだけで巨額の対価を出すとの話もあった。
しかしこのような広告を劉同明はほとんど断ってきた。
李子柒は確かに稼げるかもしれないが時が来ていなかった。もっと進歩して、動画を磨き、さらに良質な作品を制作して影響力を強める必要があった。
彼からすれば李子柒はまだまだ到達すべきところに来ていなかった。もしこの時に商業化すれば早くに彼女の職業人生は終わってしまうだろう。当時の李子柒の当時の能力ではそれらの商業広告をうまく扱うこともできなかっただろう。
巨額の収益を退けたのは彼女の長期的発展のためだった。
劉同明は李子柒に多くの利益を得る機会を失わせたように見える。しかし考えてみてほしい。もし劉同明が利益の誘惑への道を塞いでいなければ、李子柒は普通の配信者にしかならなかっただろう。
2年の間、李子柒は広告業界からの邪魔を受けずに大量の時間を好きな動画制作に使いってレベルアップしてきた。この2年間で李子柒は大量の良質な作品を生み出し、自身も次第に成熟していった。
この時に李子柒のショートビデオは爆発的な人気となり、十分な実力を身に着けた李子柒は上昇気流に乗ってどんどん人気になっていった。
その後、人気の火は国内から国外へと広がりYouTubeでの注目度と再生数はCNNを超える。
ある人は李子柒の中国伝統文化発信の影響力は、1000のCGTN(中国国際電視台)に及ぶとしている。
その頃に「李家有女,人称子柒」という言葉が生まれる。
国内だけでなく国外のネットユーザーにも愛され、彼女の動画は大都市における緊張した生活のストレス和らげるとされる。
売れっ子になったことで、李子柒はついに劉同明の最初の計画を完成させる。二人は李子柒というブランドの商業化に乗り出す。
2019年末、李子柒の名前を掲げるショップの売上を計算した人がいる。毎月の営業成績は軽く4000万元(約6億1千万円)、1年で5億元(76億円)に達する。
今年に入ると彼女の月間売上は億を突破し、コストを回収するだけでなく相当な収益を上げるようになっている。


あの数年に拒否した広告で得られた利益を、たった一年で取り戻しさらに多くの利益まで得ている。
劉同明は相当に頭の切れる人物である。
彼は早くに李子柒の影響力を使い果たすのではなく、しなやかな竹がしっかり根をはるように育て、四方に生え広がっていくように伸ばしていった。
彼女が土の中にしっかり根ざし、地下に向かって十分な根を伸ばしたところで、土を破り、狂ったように成長した。
人を驚かせるような成果を上げる人は、単に眠っている期間が長いだけでなく、たくさん蓄えたものを少しづつゆっくり出していくのだ。

<記事の終わり>