南アジアで火が付くグルメ動画「ヴィレッジ・フード」
ここしばらく世界中のグルメ動画をずっと見ていました。
滇西小哥,李子柒,山药视频 などなど。
世界中と言いつつも全て中国大陸発なの動画なのですが。
ずっと見ていて浮かんだ疑問。
これって中国だけなのかな?
それで色々調べてみたら出てくるじゃないですか。。
今なんと、南アジアでは Village food(ヴィレッジフード)という動画ジャンルが熱い!
インドの日刊英字新聞 Times of Indiaでこんな記事がありました。
記事タイトルを日本語にすると、”ヴィレッジフードが今まさにバイラルになっている”というところでしょうか。
ヴィレッジフード=村の食事
これまでにもテレビ番組では世界中の文化や食生活を紹介するものがありましたが、決定的に違うのは当事者が自分で撮影して発信していることです。
ヴィレッジフード界で最も成功したYouTubeチャンネル 「Village Food Factory」が良い例です。
2016年のインド。当時26歳のゴピナスさんはタミル地方の映画産業でアシスタントディレクターとして働いていました。
親に仕送りしてあげるほどの収入もなく家族は貧しい生活を送っていました。
そんな時、あるアイディアがひらめきます。
62歳になる料理人の父を撮影してYouTubeに載せよう!
お父さんは独学で料理を学び、その腕前から周囲の人たちから屋台を勧められたという経歴の持ち主。
それでYouTubeチャンネルの名前は「Village Food Factory」
始めの頃は編集テクニックも非常にお粗末だったのですが、遂に世界中でバズる時がやってきます。
その動画がこちら。
お父さん、フライドチキン100本つくってみた。
説明を徹底的に取り除いた映像なのに、あまりにも魅力的。
っていうか言葉がそもそもわからない。かろうじて通じる訛りがきつい英語。
でも紹介されるのは現地に行かなければ味わうどころか知ることすらできない豪快な料理ばかり。
動画を通して香ばしいスパイスの香りが伝わってきます。
言語の壁を越えて、がっちり胃袋と好奇心をつかんでくる動画です。
この調子で、ちょっと普通では考えられないボリュームのインド料理を作り続け、Village food Factory はチャンネル登録250万人を獲得します。
今では広告収入で大きな家を購入しリビングには大型液晶テレビ。
欧米のセレブリティがわざわざ彼らの家を訪れることさえあるそうで。YouTuberのスターダムを今まさに駆け上がっています。
この成功を南アジアの皆さんが黙って見ているわけがありません。
続々とインドの地方都市やお隣のパキスタンでもヴィレッジ・フードを紹介するチャンネルが作られています。
時にはサムスンの一番安いスマホだけで撮影を始める人もいる模様。
でも時間が経つにつれて、頑張って一眼レフカメラを買ってYouTubeに動画を上げています。
食欲という人間の根源にかかわるコンテンツだからこそ、素朴でヤラセ感のない動画に訴求力があるのかもしれません。
これは何も私が言っていることではなく、上記の記事の中でYouTubeのアジア太平洋地域を総括する責任者 マーク・レフコウィッツ自身が最近のトレンドについて語っています。
2018年末の時点で、人気のフードチャンネル10本のうち3つがヴィレッジ・フードを扱っている。― グランパ・キッチン, ヴィレッジ・フード・ファクトリー, カントリー・フーズ。
特別な食材と調理器具を用いるというよりは、非常に原始的でだれでもマネができる。
でも実際にマネしようとすると絶対に再現できない。
そんなヴィレッジ・フードが世界中のインターネットを駆け巡っているわけです。
過剰な演出は要らない。赤の他人が日頃どんな生活を送っているのか知りたい。
そんな欲求を満たしてくれるという意味では、テレビ東京が放送している番組「家、ついて行ってイイですか?」にも通じるような気がします。
中国・南アジア、そして世界に広がるヴィレッジ・フードのトレンドにこれからも注目です。
よろしければこちらの記事も是非に。