ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

江蘇省在住 大卒後すぐに農村からの配信をスタートした『乡村小乔』

大多数の中国の大学生は、卒業後は地元を離れて比較的経済の発展した都市に移り住むものですが、今回紹介する『乡村小乔(シャンツン・シャオチャオ)』の主人公、小乔さんのは他とは違う道を選ぶことになります。


彼女の選択、それは地元に残ってネット配信を始めることでした。

 

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もちろんネット配信の経験などもなく、他のインフルエンサーのように口がたつわけでもない。そんな内気な彼女が動画に撮り始めたのは、普段の生活や家族の姿でした。


その後、彼女のビデオカメラを通して多くの地元の農産品が人々に知られるようになっただけでなく、販路開拓のチャンスも得ることになります。


例えば地元の農民が300ヘクタールの畑に植えていた“海棠(かいどう)”という植物。中国は鑑賞用としても食用としても流通していますが、太い販路がありませんでした。


中国の農村でよくある落とし穴のようですが、利益率にばかり目が行って販路開拓がおろそかになっていたようです。15万元の投資に加えて5万元の借金も抱え、育てた海棠も売れやしない。


この村人の現状を見た小乔さんは動画を介しての農産物の販売を始めます。


動画での地道な宣伝が功を奏し、あっという間に様々な農作物を取り扱うようになります。


2018年8月にはたった2日で60トンのニンニクを完売。2019年3月には160トンのサツマイモを完売。これらの農産物はすべて中国各地の貧困地区からやってきたものです。


このようなネット活動が認められて地元の行政や国からも高い評価を得るようになっています。


現在では300万人のフォロワーを擁し、「国民媳妇(国民の妻)」と呼ばれるようにまでなっています。


彼女に関する情報を調べてみると、地方政府のバックアップがかなりあるような気がしています。中国各地の大学に招待されて、生徒たちの前で講演する様子も投稿されています。この背景には若者に地元に戻って就職・起業してほしいという切実な願いがあるようです。

 

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とはいえ田舎配信がすでにレッドオーシャンになっているのも事実ですし、若い人が今後同じ道を選択するようになるのか全くの未知数です。


小乔さんの配信だけでなく、彼女をロールモデルにした配信者が今後中国各地に登場するかどうかも大きな注目ポイントになりそうです。

 

 

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