浙江省から 自家製の桃花酒で大人気になった配信『酒鬼小莉』
中国の田舎で配信を始める人々の多くが地元の特産品を販売していますが、今回紹介するチャンネルの主人公は自家製のお酒で人気になった女性です。
チャンネル名は『酒鬼小莉(ジョウグイ・シャオリー)』。
酒鬼という言葉は日本人にとってはあまり良いイメージではありませんが、中国語では酒飲み・大酒家・酔っぱらいを意味する言葉のようです。
中国の動画サイト 西瓜视频では212万人のフォロワーを獲得しています。(2019年6月現在)
彼女の本名は许莉霞(シューリーシャ―)さん。2016年までは中国 寧波の外国企業でホワイトカラーの仕事をしていました。
夫と二人の娘、お姑さんと一緒に56平米の小さな借家で暮らしていました。
でもお姑さんが都市での生活にまったく合わない。もう限界!となったころ、莉霞さんのおもちゃ販売のネットショップでは二人の子どもを養っていけないことに気づきます。
それで一家そろって大きな決断することに。彼女の実家 浙江省に戻ることを決意したのです。
しかしこれに反対したのが莉霞さんのお父さん。
農家を営みながら3人の子どもを大学に送り出し、就職までさせたのに田舎に帰ってくるとは何事だ!何年もかけて学んできたことが無駄になってしまう!というのです。
それでもなんとか父親の反対を押し切って田舎に帰ってきた莉霞さんですが、地元の人々を観察していると多くの人がスマホ動画を見ていることに気づきます。
これに発想を得た莉霞さんは夫と一緒に一眼レフカメラ・照明器具・レフ板を購入して動画撮影をゼロから勉強し始めます。
一番最初に動画を投稿したのは2017年12月19日。タイトルは「农村妹子自制南瓜饼(農村の娘が手造りする中華風かぼちゃパイ)」。カメラの前でしゃべりながらカボチャを洗い、蒸して、最後はかぼちゃパイにする様子を投稿しました。
一番最初に動画で得た収入は日本円にしてたったの0.6円。振り返ってみるとそのころに何を撮っていたのかは忘れてしまったそうですが、収入があるというのは家族にとっての希望だったそうです。
たった3,4分の動画のために3,4時間をかけて撮影する生活を続けること1カ月。遂に注目される日がやってきます。
それがこちらの動画。自家製の桃でつくったお酒の製造過程を説明する動画があっという間に300万回近く再生されます。
あるネットユーザーがこの動画にちなんで彼女のことを“酒鬼”と呼んだことがきっかけで、アカウントを『酒鬼小莉』に改名します。
ここから彼女の快進撃が始まります。
家の畑で野菜を収穫したり手作りの料理の様子を投稿するのと並行して、地元の特産品を販売するネットショップを開設するに至ります。
現在では『酒鬼小莉』ブランドのお酒・地元特産のお餅・お茶・サツマイモなどを大々的に販売しています。
しかし人気が出るにつれて悩みの種もあるようです。当たり前ですが、田舎で撮影しているとネタが尽きてくるという問題があります。
それを克服するために地元のお年寄りに教えを請ったり、地元の民謡を覚えたり、特産のお茶の製造技術を覚えたり。常に新しいことにチャレンジしています。
その努力が実り、今では年間数百万円の収入を得るまでになったとか。
今では田舎の小さな家が商品倉庫。お酒やドライフルーツや地元の特産品で埋め尽くされているそうです。
確かにビジネスとして大成功しているのですが、動画の内容自体は広告よりも中国の田舎の生活を中心にしているところも好感度が持てます。
配信者が売ろうとしていなくても、こぞって視聴者がモノを欲しがるところがとても中国らしいですね。
日本酒とは違った酒造りの工程もなかなかの見ごたえがあります。
皆様もよろしければ是非に。