ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

貴州省の少数民族 トン族の女性が始めた動画チャンネル『乡野丫头』

中国のマジョリティは漢民族ですが、実は中国は多くの少数民族が暮らしていることでも有名です。国によって認められている民族は55にのぼります。意外と中国は多民族国家なのです。

 

 

今回紹介する動画の主人公はトン族(侗族)の女性。2010年の統計によると280万人のトン族が中国で暮らしているそうです。その大部分が貴州省のトン族自治区で生活しています。

 

 

80年代後半生まれの石秋実さんはトン族自治区の出身です。普段は地元の学校でいわゆる保健の先生をしています。登校した生徒たちの体温を測定して健康チェックするのが彼女の毎日の日課です。

 

 

f:id:hidari_te:20190525011816j:plain

 

 

少数民族の小さな村で平凡なくらしを送っていた彼女ですが、大きな転機が訪れます。

 

 

2017年のある日。地元に帰省したいとこが彼女の歌う民謡に心を打たれます。実はトン族に伝わる歌には百年以上の歴史があります。もともと映像制作の仕事をしていた彼女のいとこは、この文化を保存していくことを決意します。

 

 

開設したチャンネル名は『乡野丫头(シャンイエ・ヤートウ)』日本語に訳すと“田舎の娘”という意味です。

 

 

2017327日。民族衣装を着て茶畑で茶摘みをする最初の動画を公開します。その直後から美しい風景を絶賛するコメントが書き込まれます。

 

f:id:hidari_te:20190524231729j:plain

 

 

その後、三つの動画を公開しただけで再生回数は20万回を突破します。

 

 

他の農村配信と同じように野菜の収穫や伝統料理の動画を投稿していきます。そして遂にマネタイズにつながったのがこの「腌酸肉」。豚肉をよく洗って塩と花椒で漬けておく料理です。

 

 

f:id:hidari_te:20190525005443j:plain

 

f:id:hidari_te:20190525011938j:plain



ある視聴者がこの料理を買いたい!と言ったのがきっかけで5キロの腌酸肉200元で販売することになります。

 

 

これがきっかけでネットビジネスがスタート。地元の特産品を商品として売り始めたところ大当たりします。最初は肉製品を加工していましたが、ネットユーザーの声にこたえて米・とうもろこし・茶葉なども売り始めます。

 

 

ネットでの人気が爆発していくにつれて、他の田舎配信とタッグを組んで20に及ぶ貧困地区の特産品を自分の配信で販売し始めます。彼女もまた貧乏脱出請負人となっていくのです。

 

 

ビジネスとしても大きく成功している『乡野丫头しかし彼女のモチベーションは最初の頃から変わっていません。

 

 

彼女のコメントが非常に印象的です。

 

 

「トン族は独自の文字を持っていません。口伝えだけに頼って伝統を伝えてきました。そして村の人はどんどん少なくなっています。私は自分と故郷の物語を記録して、伝統文化の根っこを守りたいと思っています。そしてもっと多くの人が故郷に戻って仕事を始めることを願っています。」

 

 

いまや200万人のフォロワーを擁する動画チャンネルでも、故郷を守りたい!という願いのもとに活動を続けているのは素晴らしい志です。

 

 

そんな石秋実さんも最近結婚して妊活に励んでいる様子を配信しています。ますますこのチャンネルに注目が集まりそうです。

 

f:id:hidari_te:20190525012221j:plain

 

 

皆様もよろしければ是非に。

 

YouTubeチャンネル

 

www.youtube.com

 

・西瓜视频チャンネル

www.ixigua.com

 

こちらのチャンネルもおすすめです。

galapagosfrog.hatenablog.com