ガラパゴスの蛙

ネットに漂うあれこれ

ベトナム人配信者による李子柒盗作騒動への南方日報の記事(2020/07/03)

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ベトナム農村配信『Bếp Trên Đỉnh Đồi(山のキッチン)』の李子柒盗作騒動が大炎上しています。この件については以前にも取り上げました。 

galapagosfrog.hatenablog.com

中国ネット民が当該チャンネルのコメント欄に凄まじい攻撃を仕掛ける一方で、bilibili動画では検証動画も多数アップされています。語調が強くなるにつれてヘイトじみたコメントも増えています。被害は中国語で活動する全く別のベトナム人配信者にまで及び「私と李子柒は関係ありません。どうか批判をやめてください」という声明を出す事態になっています。

『Bếp Trên Đỉnh Đồi』のコメント欄に寄せられているベトナム語コメントは同情的なものが多く、怒り狂う中国人たちを冷ややかに見ているようです。(Google翻訳で読んだだけですが)

 

炎上騒動がピークに達している頃、中国メディア「南方日報」にこの出来事に関する記事が掲載されました。100%支持出来るわけではありませんが様々な見方の1つとして紹介できればと思います。

素人訳なので自己責任でご覧ください。

media.people.com.cn

李子柒から学ぼうとして盗作に陥ってはならない(2020/07/03)

故郷の風景、長い髪に質素な服、春に種をまき秋に収穫する、野菜をとって料理を作る。これらのキーワードを述べれば、多くの人が最初に思いつくのは昨年何度も微博のホットワードに登場した、多くの主流メディアに称賛される動画ブロガー李子柒である。しかし他の国のネットユーザーが思いつくのは、彼女に似ているものの彼女とは違う動画ブロガーのようだ。


最近、ベトナムのグルメブロガー”山のキッチン”が李子柒の動画を盗作していることに注目が集まっている。あるネットユーザーは”山のキッチン”が投稿している動画の構図、物語の語り方、登場人物の外見まで全て李子柒を真似ていると指摘している。現在、そのアカウントの動画再生回数は百万回を超え、多くの登録者数を集めている。このような”高精度な模倣”はこれだけに限らない。李子柒本人もこれについて動画を公表し問題をはっきりさせている。


あるネットユーザーは”山のキッチン”が东施效颦(真似ているのに、うまくできていない)、上っ面を真似ているだけで、風格をつかめていないと指摘します。筆者は風格があるか、浮世離れしているか、それとも世俗的なのかは重要ではないと考える。カギは、これらの動画が誰の物語、何の物語を語っているかにある。誰でも田園生活を撮影して構わない、老人と若者の組み合わせは誰かの特権ではない。しかしそれをひたすら繰り返すならば、李子柒の動画にある最も大切なものを見失うことになるだろう。


李子柒がネットで人気になったのは、美しい外見、DIYスキル、近所や肉親との関係などが含まれる。しかし人気を決定づけているのは、四季の労働の背後にある時間の繰り返し、髪づくりや染め物に代表される中華伝統文化を人々の前に本当に見せていることだ。フィルタをかけ色調を買えていたとしても、人々はその中から先祖の世代の生活様式や、彼女が自足する質素な生活を認め、伝統文化に対する愛情を持っていることを見出している。彼女より前に世界に中国を紹介する人々は万里の長城、天壇、兵馬俑などにこだわってきたが、彼女の出現は中華文化が人々の想像するよりも多様で、中国の物語を語る多くの表現方法があることを証明している。真摯な自信の表明は人の心を打つ力がある。

 

それで、ただ李子柒が花を摘み、野菜を収穫し、料理を作るのを真似したところで何も学ぶことは出来ない。更に言えば元の動画の核心とは真逆のものになってしまうだろう。李子柒は中国人に自身が住む西武の山村の生活を示し、全世界に向けて中国の特色ある文化を発信している。彼女を模倣する動画はただ人の真似をするだけで主張がない画一化された内容で、皆が中国の同じ山村で暮らしているように見える。ベトナムと中国には多くの歴史的なつながりがあり、文化にも共通点がある。しかし全く同じにはならない。このような動画は自分の生活と文化への愛に基づくものとは言い難く、むしろ人気や再生回数からお金を稼ごうとしているのではないだろうか。

 

多くのネットユーザーと同様、筆者も李子柒が権利を守り、盗作者が教訓を学ぶことを支持する。しかし願わくば世界各地の人々がカメラで各々の物語を語り、本来多様な人類文明への理解を互いに深めていくことを願う。
(宋心蕊、赵光霞 責任編集)

<記事の終わり>